結婚式で新郎父親が語るスピーチの書き方

結婚式において、新郎の父親のスピーチはご親族を代表する大切な挨拶です。
厳かに、そして温かく。参列者に感謝を伝え、会場の空気を和やかに包み込むことが求められます。
ここでは、構成やポイントを押さえながら「書き方の基本」をご紹介します。
1. スピーチの役割を理解する
新郎父親のスピーチは、披露宴の中でも「公式な挨拶」のひとつ。
役割は大きく分けて次の3つです。
- 参列者への感謝を述べる
- 息子や新婦への想いを語る
- 両家や参列者への配慮を示す
堅苦しくなりすぎず、しかし礼を欠かない言葉選びが大切です。
2. 基本の構成
スピーチはおよそ 3〜5分 が適切。長すぎず、簡潔にまとめるのが理想です。
(1)冒頭の挨拶
- 自己紹介(新郎の父であること)
- 参列者への感謝
例:「本日はご多用の中、息子と◯◯さんのためにお集まりいただき、誠にありがとうございます。」
(2)新郎の紹介・エピソード
- 幼少期の思い出
- 人柄や成長を感じたエピソード
※ここで少しユーモアを交えると会場が和やかに。
(3)新婦への歓迎の言葉
- 新しい家族としての歓迎
- 新婦の魅力や印象
例:「◯◯さんの明るい笑顔に触れるたび、息子が幸せそうにしているのを親として嬉しく思います。」
(4)新婦両親・参列者への感謝
- 新婦のご両親へのねぎらい
- 両家の絆を大切にする一言
(5)結びの言葉
- 二人への祝福と激励
- 再度の感謝
例:「どうぞこれからも温かく見守っていただければ幸いです。本日は本当にありがとうございました。」
3. 書き方のポイント
結婚式における新郎父親のスピーチは、両家を代表して感謝と祝福を述べる重要な場面です。そのために大切なのは、まず参列者への感謝の言葉から始めることです。
新郎の父である自分を簡単に紹介しつつ、本日は多くの方に集まっていただいたことへの感謝を丁寧に伝えることで、会場全体が温かい雰囲気に包まれます。
続いて、息子である新郎の人柄や幼い頃のエピソードを交えて成長を語ると、聞き手は親としての思いを自然に感じ取り、会場との距離が近づきます。
ただし、自慢話や長い思い出話に偏るのではなく、息子の人柄が端的に伝わる一つか二つのエピソードを選ぶのが望ましいでしょう。
その後は新婦への歓迎の言葉を添え、これから家族として迎える喜びを率直に表現します。新婦の魅力や印象を具体的に語ると、新婦側の親族や友人にも安心感と温かさが伝わります。
また、新婦のご両親に対しては、大切に育ててこられた娘を息子の伴侶として迎えられたことへの感謝をきちんと述べることが欠かせません。
さらに、結びに向かっては二人への祝福の言葉を贈り、これから力を合わせて幸せな家庭を築いていくことを願う気持ちを率直に語ります。
最後に再び参列者への感謝を述べて言葉を閉じれば、礼を尽くしながら温かさに満ちた挨拶となります。
書き方のポイントとしては、何よりも長すぎないこと、難しい言葉を避けて素直で分かりやすい言葉を選ぶことが大切です。
原稿用紙にすれば二〜三枚程度、時間にして三〜五分がちょうどよく、参列者も聞きやすく集中して耳を傾けてくれます。
全体を通して中心に置くべきは「感謝」と「祝福」であり、決して自分や家族の苦労話に偏ったり、過度に親の立場から説教めいた話をしたりしないことが肝心です。軽いユーモアを交えられるなら一つの小話を添えるのも良いですが、場の空気を壊さない程度に抑えるのが賢明です。
つまり、新郎父親のスピーチは特別な技巧を凝らす必要はなく、親としての率直な気持ちを、聞き手への配慮と共にわかりやすく語ることが、最も心に残る挨拶につながるのです。
🎤 新郎父親スピーチ例文

父親のスピーチは3分~5分にまとめるのが適当です。
スピーチ例文 3分バージョン
本日はご多用の中、息子◯◯と◯◯さんのために、これほど多くの皆さまにお集まりいただき、誠にありがとうございます。新郎の父として、心より御礼申し上げます。
息子は幼い頃から少し恥ずかしがり屋で、人前に出ると私や母の後ろに隠れてしまうような子でした。しかし年を重ねるにつれて、責任感を持って物事に取り組む姿が見られるようになり、今では私たちの支えにもなるほど頼もしく成長してくれました。親として振り返りますと、あっという間の年月だったように感じます。
そんな息子にとって、◯◯さんと出会えたことは大きな幸運でした。彼女と一緒にいる時の息子の表情はとても穏やかで、これほど安心した顔を見せてくれるのは家族として本当に嬉しい限りです。◯◯さん、息子を支えてくださり、本当にありがとうございます。
◯◯様ご夫妻、大切に育ててこられたお嬢様を、私たち家族に迎え入れることができ、心より感謝申し上げます。まだまだ未熟な二人ではありますが、どうぞ温かく見守っていただければ幸いです。
これからの人生、きっと楽しいこともあれば、時には困難に直面することもあるでしょう。その時には今日お集まりいただいた皆さまの支えをいただきながら、二人で力を合わせ、笑顔の絶えない家庭を築いていってほしいと願っております。
最後になりましたが、本日ご臨席くださいました皆さまに改めて感謝申し上げ、私からの挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。
スピーチ例文 5分バージョン
本日はご多用の中、息子◯◯と◯◯さんのために、これほど大勢の皆さまにご臨席を賜り、誠にありがとうございます。新郎の父として、また両家を代表して心より御礼申し上げます。
息子の◯◯は、幼い頃はとてもおとなしく、人見知りをする子でした。運動会ではスタートのピストルの音に驚いて泣き出したこともあり、親としては少し心配になるほどでした。しかし成長するにつれて、少しずつ自分の意見をしっかり持ち、友人や周りの人から信頼を得られるようになっていったように思います。大学進学の頃には、自分で将来の道を考え、努力を重ねて歩みを進める姿を見せてくれるようになりました。親としては、その姿に頼もしさを覚えると同時に、子どもの成長の早さに驚かされるばかりでした。
そんな息子が、今日このように立派に晴れの日を迎えられたのは、ひとえに彼を支えてくださった多くの方々のおかげでございます。そして何よりも、◯◯さんと出会い、共に歩む決意を固められたことが、息子にとって人生最大の喜びであると感じております。二人が交際を始めてから、息子の表情が以前にも増して柔らかく、穏やかになったのを私たち家族も感じておりました。◯◯さんのおかげで、息子はより一層優しく、そして強い人間へと成長したのだと思います。本当にありがとうございます。
◯◯様ご夫妻におかれましては、大切に育ててこられたお嬢様を息子の伴侶にお迎えできましたこと、心より感謝申し上げます。これからは私たち家族も力を合わせて、二人を温かく見守り、支えてまいりたいと存じます。どうぞ今後とも変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
結婚生活は、楽しいこともあれば、時には思いがけない試練に直面することもあるでしょう。しかし、困難を共に乗り越えることで二人の絆はより深く、そして強くなっていくものだと思います。今日ここに集まってくださった皆さまのように、多くの方々に支えられながら、互いに思いやり、笑顔の絶えない温かな家庭を築いていってほしいと願っております。
最後になりましたが、本日ご列席くださいました皆さまに、改めて心よりの感謝を申し上げます。どうぞこれからも二人を末永くお見守りくださいますようお願い申し上げ、私からの挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。
まとめ
新郎父親のスピーチは、披露宴の雰囲気を左右する大切な役割です。
「感謝・思い出・歓迎・激励」という流れを押さえれば、自然と心に残る言葉になります。
堅苦しく考えるよりも、 “親としての素直な想い” を丁寧に言葉にすること が一番の秘訣です。